2012-09-21

NY便り 被災地釜石から復興の様子

お客様がまだいらっしゃるのにNY滞在を伸ばしたのは、地元釜石から3名の方がNYのジャパンソサエティーで講演すると知ったからです。

宝来館のおかみさん、小野食品の社長さん、釜石市役所の方そして釜石の復興に協力してくださっている一ツ橋大学の教授が渋沢栄一財団のご協力でNYに招かれ今回の講演となりました。感謝です。

http://www.japansociety.org/event/local-economic-recovery-firsthand-accounts-from-tohoku#.UFAGW5U8WGA.facebook

せっかく遠いところいらしているのに、誰もいなかったら・・・という心配は無用で会場には100名以上の方がいらしていました。

ちなみに同時通訳者が二人スタンバイして、必要な方にはイヤホンが渡され、同時通訳されていました。

モデレーターは、ウオールストリートジャーナルやアエラにも執筆されていらっしゃる津山恵子さん。実はプライベートでも、時折お会いしてお世話になっています。通常日本語と英語が混じりますとテンポが悪くなるのですが、とてもお上手に進行してくださいました。

小野食品というのは、地元では誰でも知っている水産加工業者なのですが、釜石訛りのおじさんがNYの方に何を話すかな〜と思いきや、訛りもなく、お父様の急死後会社を継いだそうですが、その後25年間で25倍に売り上げを伸ばされたのがよく理解できるような、とってもスマートなスピーチ内容で、こういう方がまだ地元にいるんだと思うととても心強かったです。

http://www.onofoods.com/

美味しいお魚が買えます!

そして地元の旅館、宝来館のおかみさん。

http://houraikan.jp/

実は年末に帰省したときにも、建築家さんのイベントでちらりとお会いしたのですが、本当、お仕事そしてご家族のことだけでお忙しいでしょうけれど、地元の活動にも積極的に参加され、人を集めていろいろな企画をされ、実行し、本当このバイタリティーはどちらから来るのでしょうと感心します。
一度は津波に流されたおかみさんですが、旅館を避難所にし地元の方たちを滞在させたり、夏にみんなが帰省する前にせめて瓦礫を片付けて安心してもらおうと、海岸のごみ拾いやお花を植えるイベントをしたり、佐藤裕氏の鎮魂の会(主催は朝日新聞社)をはじめその他多くのイベントを旅館そばの根浜海岸で行っているのです。

会の後もお話させていただき、「世界で一番住みやすい街バンクーバー」にも多くの街づくりのヒントがあるはずですとお伝えしました。また帰省したらぜひお会いしたいと思っています。

おうちは被害にあい仮設住宅にお住まいの釜石市の職員の方にもいらしていただき、津波の起きた際の状況や現在そして今後の方針についてご説明いただきました。正直、市の復興プランが発表された際は、がっかりしつつまあ釜石だったらこのくらいかなという案でしたが、ご説明いただきちょっと希望が持てるのかもと思えるものでした。

簡単に言うと、高齢者が多いので、おばあちゃんにも住みやすい町に!という内容です。

私も知らなかったのですが、実は釜石は震災前の数年間は、高齢化がとっても進んでいる街にもかかわらず景気がよくなっていたそうです。様々な大学の研究対象にもなったようで、震災後もそういうつながりもあり、知的援助も多く入ったのかと思います。

質疑応答の際に、「なぜ浸水地域に何かを建てたりしなくてはいけないのか?お金の無駄ではないのか?」などの質問がありましたが、なるほどと思う回答が多々ありました。

*市内の9割は山で、残り1割の土地しかないため、どうしても浸水地域となってしまう

*津波が来るのはせいぜい30年に一度、それまでに利益を得ればいいと言って出資する会社が存在する

*水産加工工場が津波の被害のない内陸にあると、新鮮なものは出来ない(または加工する前に魚が腐る)ため、建物の高さを調整する方法をとった

*今回の被害を見ても、防波堤や高速道路をはじめ、様々な公共施設などがあったために命が救われたことが多いので、浸水地域をどのように活用するのかは重要であり、壊れたとしても人の命を救っている場合もある。浸水地域にも作るべきである。

*被災したとしても命さえあればまた財産は築ける可能性がある、一番に逃げること、生き抜くことに念頭をおくべきである

小野食品さんも宝来館さんも借金をしての再建。私だったら胃に穴が開きつつの生活だと思うのですが、前向きで且つ希望を感じられました。

その後、偶然会った妹の友達とその他地元出身者と一緒に飲みに行きました。

熱く語る方もいらして午前様でしたが、とても有意義な会話且つあの弱肉強食のNYにいながらも、岩手の暖かいハートがある人たちと一緒に飲めて幸せでした。

By Masumi

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